Freedom~ちっぽけな冒険隊Ⅰ~

世の中には面倒くさいことや
非効率なことって山ほどあるよな。
先輩のぱしり、部活で強制参加のマラソン大会、
そしてママチャリ旅
今回の話は去年の夏に実際に俺たちが体験した
過酷でクレイジーで最高に楽しい
ママチャリ旅のお話だ。
この旅が今の俺のスタート地点になった。
俺は思うんだよね。
最近の世の中は色々なものが発展しすぎっしょ
人が来ると勝手に上がる便座
勝手に掃除するロボット
カメラ付き腕時計
便座くらい自分で上げろ、掃除も自分でやれ
腕時計に仕込んでまで撮りたい画像はなんだよ
便利になることは悪いことではない。
時間を効率的に使えるようになるし
余計な労力も使わない。
だけど忘れちゃいけないのは非効率なことほど
楽しかったりするってことだ。
便利なことばかりに流れちゃいけない。
たまにはこうして超非効率な旅を楽しむのも
いいかもしれないぜ?
まぁもう一度やるか?って誘われたら悩むけどな

さてとまずは自己紹介からだな、
俺の名前はかんた。みんなからはKって言われてる。
っていうのも余り誇らしく言えるほどでもないが
YouTubeをやっててそのチャンネルの名前が
「Kの日記」って名前だから
自然とKって呼ばれるようになっちゃったんだよね。
あとで調べてチャンネル登録しといてくれ。
ちょっとだけ宣伝
さて簡単に俺の家族構成でも話しておこうか。
うちは5人家族で子供3人、親2人
お父さんがサラリーマンで
お母さんがパートタイマー。
兄弟は弟と妹が一人ずつ。
そして知能派インテリイケメンの俺だ。
ちなみに長男。
ん?彼女がいるかって?
女性ファンのみんな安心してくれ
俺はいつでもフリー。今笑ったやつぶっ飛ばす
まだ時代は俺に追いついてないだけだからな
世の中では大人たちが好景気、不景気騒いでいる。
新聞読みながら「まだ景気はよくならんなぁ」
って言ってる父を見ると
「おやじがもっと俺にプレゼント買ってくれたら
景気なんかあっという間に良くなるわボケ」
と言いたくなってしまう。(ビビりで言えない)
まぁ俺は高校生だから正直世の中不景気だろうが
生活に変化はないんだけどね
しかしそれは世の中の話。
俺の恋愛不景気はまだ終わりそうにない。。
生まれて17年。景気が上向いたことは
きっと一度もなかったはずだ。
ことごとく狙いは外れ
偶に狙ってもない的が寄ってくる。
先ほども書いたが大事なことなので2回書いておく
  「時代が俺に追いついてないだけだ」

ぽかぽかした平和な春は
あっという間に過ぎてしまった。
ニュースでは美人なアナウンサーが汗びっしょりで
「現在~市では41度を記録しています!」
なんて報道している。
そして言葉とかぶせるように太ったサラリーマンが
ハンカチで噴き出る汗を拭く様子が映される
俺はその映像を見る度いつも思う、
どうせとても暑いってことを伝えたいなら
ビーチで遊ぶ水着のお姉さんでも映してくれって。
いくらテレビとはいえ見栄えを気にするべきだ。
俺の偏見は許してくれ、おやじの影響
さてそんな異常気象の影響は
この宇都宮にも来ていた。
連日35度を超える暑さで通りを歩く人は
とても少なくなっていた。
学校はすっかり夏休み。
そんな時わざわざ宇都宮に来る人なんて少ない
季節をまちがって観光に来た外国人観光客と
東口の飲み屋街で働くメイクが濃いギャル
そしてただやることもなく散歩にきた俺くらいだ。
その日俺は午後から何の予定もたてていなかった。
駅前の商業ビルやアーケードをぶらぶらしながら
次の動画のネタを探していた
俺は今週の週刊誌(内容はエロ本と変わらない)を
チェックするためにいきつけの本屋に入った。
いつもの週刊誌を手に取ろうとしたときだった。
普段は絶対さわりもしないような
カメラマニア向けの雑誌の表紙が目に入った。
日本のどこかの湖で撮影されたであろう
キレイな夕焼けの写真だった。
いつもなら普通にスルー
しかし今日はその写真に見入ってしまった
   「これは行かないといけないっしょ!!
やばいやばい、これは運命だーー!」
なんて知能の悪さがばれてしまうような
独り言をつぶやいて
俺は興奮冷めないまま本屋から出た。
とりあえずどこの湖に行くかを決めなくては。
頭の中の日本地図を引っ張り出してみたが
浮かんできたのは琵琶湖だけだった。
いくらバカな俺でも日本で一番でかい湖が
琵琶湖ということくらいは知っていた。
だけどさすがに琵琶湖は遠い。
行きと帰りの電車代だけで昼飯5か月分。
そこで1つ疑問が浮かんだ
「日本で2番目に大きい湖ってどこなんだ?」
気になってグーグルで調べてみると
茨城県にある霞ケ浦湖ってとこらしい。
一周するのに100Km。
俺は昔から100って数字が好きだった。
みんなに伝わるかな?なんか100ってすごいじゃん。
100歳とか100点とか100万円とか、、
その頃の感覚がまだ消えてなかったらしい。
俺は直感で決めた。
「俺、霞ケ浦湖ママチャリで一周してくるわ」
そうと決まれば準備は早かった。
まず一緒に連れてく友達探し。
3時間で友達と合意した
さすが、バカにはバカが寄ってくるらしい。
まぁ友達の方がまだまともだね、
「ママチャリは勘弁してくれ」
って言ってきたからな
次は宿の用意、
これまで俺は自分で宿なんて探したことなかったから
ホテルの値段にびっくりした!
泊まるだけで4500円!?冗談じゃない。
そんなことしたら1か月間高校の購買で
大好きな揚げパンが買えなくなっちまう。
悩んで悩んで決まった宿泊先はキャンプ場だった。
それもネットにほぼ情報がなくて
やってるかどうかもよく分からん怪しいとこ。
そしてなにより
テントを持っていかなくてはいけないのだ。
「宿代浮かせるためだし仕方ないか、、、」
なんてのんきに言ってる場合じゃなかった。
俺はテントを持ってないのだ。
今振り返ればおかしな話だと思うよ。
速攻でAmazonで一番安いテントを購入。
お値段破格の2200円だ
それもそのはず「完全非防水・ペグなし・1.5人用」
なんかそれっぽく書いてるが要するに
雨が降ったら100%冠水しますよ、
ペグないので大風が吹いたら一発で飛びます、
2人用ではありません。そう書いてあるのだ。
もう知るもんか、どうにでもなっちまえ
さてさて次は食料だ。
出発1日前に2人で隣町のでっかな総合スーパーに向かった。
二人で何を買うべきか考えたがネットで調べても
霞ケ浦湖をママチャリで一周するための装備」
なんて載っていなかった。
スーパーの中をかごを持ってウロチョロしながら
一つずつ必要なものを揃えていった。
まず虫よけスプレー、水、ウエットティッシュ
栄養ゼリー、キャンディーを俺が探してきた
正直これさえあれば余裕で回れちゃうだろう。
そこに友達が帰ってきた。
友達が俺のかごに入れたのは
マシュマロとライターだった。
      「何に使うんだよこれ 笑」
 「キャンプっていったらマシュマロ焼くだろ」
なんて可愛い奴だろう。
いつもは俺に暴言ばかり吐くくせに、、
きっと明日は大雨だ。間違いない
とりあえずこれで会計。
友達の方は中学時代の友達を見つけたらしく
ライターとマシュマロをもって
すぐにレジに行ってしまった。
もう少しで俺の順番ってとこで
買い忘れに気づいた。
旅用のタンクトップが必要だ。
なんでタンクトップかって?
そりゃ日焼けして女の子にモテたいからに決まってる
タンクトップをかごに入れて再度レジに向かった。
会計は思ったよりも安かった。
荷物を持って小さなゲーセンで座ってる友達に合流した。
するとおかしい。この辺りだけなんか臭いのだ。
なにかが焼けた臭い。
「おい、この辺臭くね?」
「あぁ、さっきこのマシュマロ焼いて食ったからだよ」
こいつはアホだ。
スーパーの中でマシュマロ焼きやがった。
さっきの俺の微笑ましい気持ちは踏みにじられた。
三回くらいストレートぶちこんで
四の地固めで絞めてやろうか、、、
俺はあきれて言葉も出なかった
友達は昔の友達とずっと遊んでいたので置いてった
俺と友達の旅前日に最後に交わした言葉は
     

「店の中でマシュマロは焼くなよ、、」
もう死ぬまでこの言葉を使う場面はないだろうね